広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

七月第二日曜日稽古会

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7月の第二週日曜日稽古会を行ないました。まだまだ梅雨は明けそうにありません。床に染み込んだ湿気も、前回よりはマシでは有りましたが、やはり足の裏に感じられる物が確かに残っておりました。剣道着袴に着替えるや直様に足袋を履く者がいたのはその為でも有りました。湿気は少しはましでは有りましたが、ここに来て裏山のヤブ蚊の驚異は確実に増して来ております。一箇所では足りずに二箇所に蚊取り線香を炊く事としました。その効果は絶大で、約一名人間様でありながら線香の威力にやられて、フラフラとしておりました。田舎育ちの小生には、懐かしい郷愁を誘う香りであり煙でありますが、なれぬ者には少々心身に影響がある様で有りました。
 
皆、先ずは用意が出来た者から、自身の立ち位置で黙々と一人遣いに精を出しておりました。皆一往復する度に懐の手拭いに手を伸ばして額の汗を拭い、木刀の柄を拭っておりました。全体稽古が始まる前に皆確りと一汗流しておりました。柳井の御仁の様子を観ておりますと、獲物を長く遣う事は、一人遣いでは可也良くなってきております。次の段階として体を先ずは前に運ぶ事に今一つの上達を求めました。今までの彼の日常では求めて来なかった事でありましょう。明らかに股関節が固くなってしまっております。遣う事でその柔らかな伸びを足捌きに求めました。彼に取りましては最後のチャンスであろうと伝えて有ります。機会を逃す事無く、確りと一段一段登って行って貰います。
 
一汗を一人遣いで、二汗を基本打込みで流して、三汗を兵法の三学で流しあっている処に気配を殺して先輩が忍び入って参りました。無論挨拶は三学を打ち終わって後の事であります。16日のペットCTの結果を待つ身としては、少し落ち着かぬ処が有るのは致し方ない事で有ります。少し遅れて到着したことをはにかむ様に、先ずは一服を勧める好美君でありました。最早脱水状態の男衆には救いの神であったかも知れません。座礼をし、基本打込みで確りと息を揚げ、三学を遣い合いました。一刀両段の合擊に心地良い手応えを残し、其処からの二の斬りは今までで最速と言って良い鋭さを現しておりました。力技ではないその鋭さに感心しきりの関戸君で有りました。感動は必ず受けた者にもその実を宿します。何時の日にか彼にも体現できる日が訪れる事で有りましょう。この様に日々、互いに感動を共有できる事が稽古の醍醐味で有ります。一期一会の精神で切磋琢磨して行きたいものであります。
 
その後、九箇、小転と遣い合いました。九箇では永原君が先輩の三学に触発された様に、十太刀でこれまた彼のこれまでの最高に位置する合擊と二の斬りを魅せました。この感触は彼の中に生涯残る事でありましょう。無論見ている者達にもであります。これも又良き刺激を与え合う一事でありました。小転は太刀行に負けない物を求めました。小太刀の威力を増すようにますます遣い合って参ります。平成の連也を目指す者とっては、外せぬ処であります。手順を間違えるなど・・・・有り得ぬ!
 
最後に皆で時間まで抜刀を抜き合いました。ここ最近は兼次を持参の廣川君は、樋のない真剣で良き羽音をたてておりました。少し錆を浮かせて仕舞い、言う事を聞いてくれなかった愛刀も、研ぎを経て機嫌を直してくれた様でありました。所詮平生振ってやらねば刀は言う事を聞いてくれません。常に振っていれば自然に手入れを欠かしませんので錆びさせる事も有りません。確りと皆で振り込んで参りましょう。
 
稽古後は次の予定のある関戸君は除いて、皆でほぼ恒例の第一楼にて食事をしながらの歓談を行いました。廣川君も永原君も本日の良き手応えの余韻に浸っておりました。良き一日で有りました。